Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

もちろんこちらの世界には昼夜の区別も、歳月のけじめもありませぬから、私はただ神さまから伺って、成るほどそうかと思う丈のことに過ぎませぬ。四百年といえば現世では相当長い星霜でございますが、不思議なものでこちらではさほどにも感じませぬ。多分それは凝乎と精神を鎮めて、無我の状態をつづけて居る期間が多い故でございましょう。

私の生家でございますか――生家は鎌倉にありました。父の名は大江廣信――代々鎌倉の幕府に仕へた家柄で、父も矢張りそこにつとめて居りました。母の名は袈裟代、これは加納家から嫁いでまいりました。両親の間には男の児はなく、たった一粒種の女の児があったのみで、それが私なのでございます。従って私は小供の時から随分大切に育てられました。別に美しい程でもありませぬが、体躯は先ず大柄な方で、それに至って健康でございましたから、私の処女時代は、全く苦労知らずの、丁度春の小禽そのまま、楽しいのんびりした空気に浸っていたのでございます。私の幼い時分には祖父も祖母もまだ存命で、それはそれは眼にも入れたいほど私を寵愛してくれました。好い日和の折などには私はよく二三の腰元どもに傅れて、長谷の大仏、江の島の弁天などにお詣りしたものでございます。