Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
考えられるのでございます。
敦子さまの悩みは早くも十七八の娘盛りから始まりました。諸方から雨の降るようにかかって来る縁談、中には随分これはというのもあったそうでございますが、敦子さまは一つなしに皆断って了うのでした。これにはむろん訳があったのでございます。親戚の、幼馴染の一人の若人……世間によくあることでございますが、敦子さまは早くから右の若人と思い思われる仲になり、末は夫婦と、内々二人の間に堅い約束ができていたのでございました。これが望みどおり円満に収まれば何の世話はないのでございますが、月に浮雲、花に風とやら、何か両家の間に事情があって、二人は何うあっても一緒になることができないのでした。
こんな事で、敦子さまの婚期は年一年と遅れて行きました。敦子さまは後にはすっかり棄鉢気味になって、自分は生涯嫁には行かないなどと言い張って、ひどく御両親を困らせました。ある日敦子さまが私の許へ訪れましたので、私からいろいろ言いきかせてあげたことがございました。『御自分同志が良いのは結構であるが、斯ういうことは、矢張り御両親のお許諾を得た方がよい……。』どうせ私の申すことはこんな堅苦しい話に決って居ります。