Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

その時の私達の人数はいつもよりも小勢で、かれこれ四五十名も居ったでございましょうか。仕立てた船は二艘、どちらも堅牢な新船でございました。

『一同が今日の良き船出を寿ぎ合ったのもほんの束の間、やや一里ばかりも陸を離れたと覚しき頃から、天候が俄かに不穏の模様に変って了いました。西北の空からどっと吹き寄せる疾風、見る見る船はグルリと向きをかえ、人々は滝なす飛沫を一ぱいに浴びました。それにあの時の空模様の怪しさ、赭黒い雲の峰が、右からも左からも、もくもくと群がり出でて満天に折り重なり、四辺はさながら真夜中のような暗さに鎖されたと思う間もなく、白刃を植えたような稲妻が断間なく雲間に閃き、それにつれてどっと降りしきる大粒の雨は、さながら礫のように人々の面を打ちました。わが君をはじめ、一同はしきりに舟子達を励まして、暴れ狂う風浪と闘いましたが、やがて両三人は浪に呑まれ、残余は力つきて船底に倒れ、船はいつ覆るか判らなくなりました。すべてはものの半刻と経たぬ、ほんの僅かの間のことでございました。

『かかる場合にのぞみて、人間の依むところはただ神業ばかり……。私は一心不乱に、神様にお祈祷をかけました。