Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
そう思って不図振りかえて見ると、そこには六十前後と見ゆる、すぐれて品位のよい、凛々しいお顔の、白衣の老人が黒っぽい靴を穿いて佇んでいました。私は一と目見て、これはきっと貴い神さまだとさとり、丁寧に御挨拶を致しました。それがつまりこの瀑布の白竜さまなのでございました。
『俺は古くからこの瀑布を預かっている老人の竜神じゃが、此度縁あって汝を手元に預かることになって甚だ歓ばしい。一度汝に逢って置かうと思って、今日はわざわざ老人の姿に化けて出現てまいった。人間と談話をするのに竜体ではちと対照が悪いのでな……。』
そう言って私の顔を見て微笑れました。私はこんな立派な神様が時々姿を現わして親切に教えてくださるかと思うと、忝ないやら、心強いやら、自ずと涙がにじみ出ました。――
『これからは何卒よしなに御指導くださいますよう……。』
『俺の力量に及ぶことなら何なりと申出るがよい。すでに竜宮界からも、そなたの為めによく取計らえとのお指図じゃ。遠慮なく訊きたいことを訊いてもらいたい。』
親身になっていろいろとやさしく言われますので、私の方でもすっかり安心して、勿体ないとは思いつつも、いつしか懇意な叔父さまとでも対座しているような、打解けた気分になって了いました。