Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
今日はわたくしが代ってお逢いしますが、この次ぎは姉君様が是非お目にかかるとの仰せでございます。何事もすべてお心易く、一切の遠慮を棄てて、訊くべきことは訊き、語るべきことは語ってもらいます。あなた方が地の世界に降り、いろいろと現界の苦労をされるのも、つまりは深き神界のお仕組で、それがわたくし達にも又となき良い学問となるのです。きけばドウやらあなたの現世の生活も、なかなか楽なものではなかったようで……。』
いかにもしんみりと、溢るるばかりの同情を以て、何くれと話しかけてくださいますので、いつの間にやら私の方でも心の遠慮が除り去られ、丁度現世で親しい方と膝を交えて、打解けた気分でよもやまの物語に耽ると言ったようなことになりました。帰幽以来何十年かになりますが、私が斯んな打寛いだ、なごやかな気持を味わったのは実にこの時が最初でございました。
それから私は問われるままに、鎌倉の実家のこと、嫁入りした三浦家のこと、北條との戦闘のこと、落城後の侘住居のことなど、有りのままにお話ししました。玉依姫様は一々首肯きながら私の物語に熱心に耳を傾けてくだされ、最後に私が独りさびしく無念の涙に暮れながら若くて歿ったことを申上げますと、あの美しいお顔をばいとど曇らせて涙さえ浮べられました。