Japanische Klassiker mit Furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lesen Sie 山を思う (やまをおもう) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.814 Zeichen · 157 Bildschirme
刀剣の好きな人が、日本刀に大和魂を見るように、私はアイスアックスに登山者の魂を見出す。それにまた、冬の夜長など、心しきりに山を思う時、取り出して愛撫する品としては、アイスアックス以外に何も無い。
登山者としての私は道具オンチではないから、あまり色々な物を持っていはしないが、それにしても若干ある登山具を、一つ一つ考えて見るに、座敷に持ち込んで愛撫し得るものは、アイスアックス丈である。登山靴――これはツーグスピッツェの麓なるパルテンキルヘンで買った本場物には相違ないが、酒盃片手に泥靴を撫で廻すことは出来まい。ルックサック――これも登山にはつきものであるが、空の頭陀袋を前に置いた所で、何の感興も起らぬ。たかだか山寺の和尚さんみたいに、猫でも押し込んでポンと蹴る位が関の山であろう。飯盒――飯盒はいたる処で、私の為にふっくらした飯を提供してくれたが、さりとて食卓の上にのせて見ると、どうもしようがない。お箸でたゝくとカチンカチン音をたてるから、赤ん坊はよろこぶが、一家の主人として威厳を保つ必要がある身分として、そんなことは出来ない。然らばロープか。ロープは一昨年の春、大阪の人西岡氏がいろいろ考えたあげくつくったのを百呎ばかり、使って見てくれとて持って来られたのがある。