Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

「手の混んだ事をしたものですね、――それで本当に泣いたのは何人ありました」

「たった一人さ」

「そいつは面白い、誰です」

「この私さ、――あんまり情けないからだ」

「なるほど」

平次は笑う気にもなりません。

「町内の衆や遊び友達は、押かけて来てお祭のような騒ぎだ、吉原じゃ虻が一匹死んだほどにも思わないだろう」

「…………」

「それより気の毒なのは、三人の女だ、空涙一つこぼすどころか、横着者のお村などは、病気でブラブラしていたくせに、主人が死ぬと鼠鳴きをして喜んでいたし、お柳ときた日には、始終ゲラゲラしていた」

「…………」

「番頭の才吉などは、朝から算盤ばかり弾いて、仏様の顔も見ようとはしない。お隣の加積屋安兵衛などは、借金が棒引にでもなると思ったか、朝っから酒びたりで歌っている」

「…………」

「この様子じゃ、形見分けと身代の始末で、どんな騒ぎが始まるかも知れない。跡取りは甥の千代次郎だが、気の弱い千代次郎にどれだけの物が遺るか判ったものじゃない」

「…………」

「この様子を、納戸に隠れて見ていた主人の孫右衛門、何べん飛出そうとして私が引止めたことか。どんなに口惜しがったか、死骸を見れば判るが、襟も袖も、滅茶滅茶に噛み破ったほどだ」