Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
小判の栞を辿って行くと大川端で、ここには幾艘となく船が舫っております。
「八、昨夕から暁方へかけて、出て行った船がなかったか、訊いてくれ」
八五郎は飛んで行きました。トボケた顔と、暢気な調子でカモフラージュして、この大事な問を八方へ持掛けましたが、結局、
「誰も気がつかなかったそうですよ、船頭は舫っている時でも気が張っているから、艪や、櫂の音を聞き逃すはずはないと言いますよ」
「フーム」
水際に立って、折から引汐の川底ばかり睨んでいた平次も、諦めて立ち上がります。いつぞや水の中に千両箱を三つ隠した曲者のことを思い出したのでしょう、しかし、大川では人目が多い上、この汐具合では、千両箱は愚か、香箱も隠せそうはありません。
二人はがっかりして引揚げました。主人の市兵衛は五千両の工面でしょう、心痛と懊悩の看板のような顔をして出かけ、老番頭の嘉助は眼鏡を掛けて、算盤と首っ引きのまま、その側に手代の福三郎を始め、丁稚小僧は、立ったり坐ったり、ただそわそわとしております。
平次は廊下続きに土蔵の方へ行くと、後ろから案内顔の手代が二三人跟いて来ましたが、それを皆んな追い返して、まだ仏様の世話をしているお徳を呼出しました。