Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans

Aozora Bunko

水に押されるように、彼は岸に添ってあるいた。

屋敷はそこからいくらもない。

――吉良上野介といえば、二十二歳の若いころから、幕府の使として幾度となく上洛し、仙洞御所の造営にもかかわったことがあるし、後西院天皇の御譲位にも、父の義冬とともに朝幕のあいだに働き、また践祚の賀使にも立ったりして、六十歳の今日にいたるまで、堂上の公卿たちには数知れない知己と、近親者とをもっている。したがって、吉良が、その方面に、先を越して策を為そうと思えば為すこともできるし、吉良自身が求めなくとも、朝廷を繞るそういう公卿たちが事実の表面と感情だけにうごいて、不敬の罪を鳴らしたら、赤穂一藩は、いかにして、申しひらきが立つか、大罪を謝してよいか。

思うと、内蔵助は、背すじへ戦慄が走ってくる。

『籠城――自刃――退散――。何うするも、その一点が心がかり。十内に会うての上じゃ』

そう自分で結論をつけた時に、はっと、彼は立ちどまった。いつか自家の長屋門に突き当っているのである。

すると、その土塀の裾を、蝙蝠のような黒い人影が、ひらりと後へ戻って行った。

『…………』

内蔵助が、振向いて、一瞥をあたえると、図々しく、塀にはりついていたその男は、居たたまれなくなったか、つつつと、角から横へかくれてしまった。