Classiques japonais avec furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
細川家義士夜話
復讐正道
もっとも槍の穂先は、明方から白い晒布で巻いて隠してはあるが――
『御門役まで申し入れる。――吾々は故内匠頭の家来、浅野浪人の吉田忠左衛門に富森助右衛門と申す者です。火急、お訴えの事あって、大目附たる伯耆守様まで罷り出ました。何とぞ、伯耆守様直々に、お聴取り下さるよう、お取次を願いまする』
門の外から訪れて、助右衛門がそう告げると、
『暫く――』
と、邸内で家臣の騒めきが聞え、やがて跫音が奥へ消えた。
その間に、町の者は、すぐ二人の姿を見つけて、
『ヤ、赤穂の浪人衆だ』
『討入したおさむらいだ』
と、物見高く寄りたかって来て、平時では見られない二人の討入装束に眼をみはって、遠巻に眺めていたが、馴れて来るとだんだん側へ寄って来て、
『もし、赤穂の御浪人様、とうとう、おやんなすったね。今日の江戸は、あなた方の噂で持ちきっていますぜ』
とか、
『なぜお二人だけ、泉岳寺の方へ、引揚げなかったんですか』
とか、一人が話しかけると、次から次へと言葉をかけて来て、中には、
『おめでとう』
と云って通ったり、
『御苦労でございました』
二人の前へ、自分達の事のように、頭を下げて行く往来の者もあった。