Classiques japonais avec furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
待機の刻々
その後も、荷田春満は、石町の浪宅をよく訪ねて来た。内蔵助も、
(この人物には)
と機会を重ねるごとに、信頼を持って来たが、でも復讐の真意を打ち明けるような事は決してなかった。
いつのまにか、ここで出会った堀部安兵衛と春満とは、内蔵助以上、忽ち親密になっていた。
春満の情熱も、慨世の嘆も、内蔵助に話していたのでは、とんと反応があるのかないのか分らないのであったが、ひとたび堀部安兵衛に会って話すと、
(む! 貴公もそう思うか)
これは、かえって春満のほうで驚くほどな反射だった。いや、むしろ安兵衛の切歯して答える言葉のほうが、春満を圧倒するくらいに、激越な事を云い出すのだった。
『あなたは、愉快だ』
『貴公も、国学者にしては、ちとばかり骨ッぽいようだ』
忽ち、こう肝胆を照らし合って、
『お住居は』
と訊ねると、安兵衛は、
『本所林町紀之国屋店』
春満は、
『京橋三十間堀の中島五郎作の借店におります。おひまの節は、ちと話しに来てください』
『ぜひ』
と、安兵衛は約した。
思いがけない所から、意外な機密は知るものであった。百方奔命につかれるほど努力しても、何の吉左右も得られない事もあれば、又こちらの思いもうけぬ事を、ふと、先から耳に入れてくれる場合もある。