Classiques japonais avec furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
浅野家ばかりに、威張ったのじゃない。それを、柳営の大役らしい大役も為たことのない内匠頭が、狭い侍根性から、親ほども年齢のちがう父へ、楯をつくから、父もつむじを曲げたまでじゃ。……父の気質をよく知っているわし達の眼から見れば、浅野の怒った理由がわからぬ。又、世間が、何で、わし達父子ばかりを眼のかたきにするのか、それも分らぬ……』
左兵衛佐は、そう呟きつつ絶えず又、或る不安に襲われていた。父の方はまだどこかに、老成した人間の自然に到る所の図太さを見せることもあるが、彼はまだそういう大きな世間というものと闘った経験がない。それに、高家衆という世襲の嫡男と生まれているので、夢にも、こんな境遇が、自分の生きている間に巡り合せて来ようなどとは思ってもいなかった。
『あっ、そっちへ逃げた』
庭では、松原多仲と岩瀬舎人が、足軽をよんで来て、大きな籠へ鶴を入れてしまおうとするらしく、追い廻していた。
左兵衛佐は、舌打ちをして自分の部屋のほうへ向って行った。然し、そこでも用人達が道具を片づけているのに気がついて、橋廊下をわたって、二戸前の土蔵の後になっている仮の奥の間へ入って行った。