Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
と、腕くびを、つかんで、振った。
「は。聞いております」
「いつも、鶉坂の講義の席で、いうたとおりじゃ。いかなる難事件にぶつかろうが、捕吏たるものは、事件に呑まれて、自分を失ってはならん。自ら、だめと、匙をなげたら、おしまいだ。最後の一瞬まで、斃れる土俵ぎわまで、全能全力で、活路をさがす。――それが同心の精神だ。与力の魂だ。いわんや、江漢は、その子たるものの命を、救うか否かのどたん場じゃ。わしはやる! 最後までやる!」
耀蔵の眼の睫毛は、涙をささえきれなかった。ああお気の毒なことである。やはり、老先生はすこし気がおかしい。そのいうことがどうも妙だ。ふいに、捕物学の講義をはじめたり、前には、嘆息に暮れていたと思うと、こんどは、敢然と、最後までやるという。
第一、やるとは、何をやるという意味なのか?
耀蔵には、それすら、疑われた。
と思うと――老人はまた、急に、ことばの調子まで悲しげに、
「やる! やる! 四、五年前の江漢ならば、きっとやる! だが、わしは、愛縄堂の捕縄供養の時に、もう生涯、十手はとらんと、誓ってしまった。世を捨て、十手を捨てた人間。……それに、あまりに、時間がない。