Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
父愛の鞭
「……どうしたぞ、何処におるぞ! 郁次郎は。……なぜ親にそう心配をかけるのじゃ、秋から指を繰って、こうして毎日、長崎から帰るのを待ちわびている親心がわからんのかなあ」
雲に嘆く老人の白髯には、蕭々と、春も、秋めいた風がうごく。
「――途中で怪我でもしたのではないか。それとも、学友どもに誘われて、京か大坂にでも、浮かれておるのではないか。それにしても、手紙ぐらいはよこしてもいいではないか。わしもこの頃は気が弱くなった」
しみじみとした述懐である。だが、孤独な老人には、それを聞いてくれる人も側には誰もいない。
「――妙なことには、近頃はまた、この鶉坂へ、さっぱり人も訪れて来ぬ。富武親娘もどうしたのか、音沙汰なしじゃ。……といって、この門から世間へ出かけるのも何となく物憂いでのう。……郁次郎! 郁次郎! わしは、お前さえはやく戻ってくれれば幸福なんじゃよ。そして、はやく花世と婚儀を挙げてふたりの姿をならべてみたい。それが、わしの今持っているたった一つの望みなんじゃ」
愁然として、老先生の頬に、寂しい影がさした。子供に返って、おいおいと、泣きたいような沈黙であった。