Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
月の迎え
「もう近いぞ、近いぞ」
と、口癖のように言っていた。
そのうちに、とうとう、期限の百日もあと一晩、九十九日目が来てしまった。
羅門も、この日は、何事かあるかと緊張した面持で、奉行所につめていた。
ところが――昼――夕刻――になっても塙江漢の方からは音も沙汰もない。
月の迎え
「なあ羅門氏。江漢はとうとう、夜逃げをいたしたらしいぞ」
「いや、そんなお方ではない」
と、羅門は、この間際になっても、決して相手の老先生を侮らなかった。尊敬の気もちを、ことばにも、忘れなかった。
「しかし、今に至っても、沙汰のないのは如何したものだ。拙者の考えでは、吾々に会わす顔がなく、逃亡したか、でなければ、老腹を切って、今夜あたりは何処かで死んでおるんじゃないかと思うが」
「まだ分りますまい。明日の晩――そして夜明けの鐘が鳴るまでは」
「あと一日や半日で、どうなるものではない。もうそろそろ、郁次郎の首斬り道具を、並べておいても間違いはない」
「それはそうと、亀山の龍山公は、どこへ宿所をおとり遊ばしたかなあ。ぜひご拝謁を願いたいことがあるのだが……」
「羅門氏は、そればかり気になすっているが、何か火急のご用事なのか」