Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「羅門」

と、老黄門は、厳かに会釈をうけて後、その白銀を植えたような長髯の先を指でまさぐりながら、

「余が今度の出府、なんの為か、存じておろうが」

「恐察申しあげておりまする」

「いかがいたした、詮議の事は。――かねて国家老大村郷左衛門より、そちの技倆を見込んで、篤と申しつけてあったに、遂に今にいたるまで、何の効もあがらぬではないか」

「不肖羅門塔十郎、不才をもって、老公のお眼鑑を身にうけ、ここ数年来、寝食を忘れて苦心はしておりますなれど、何せよ……」

「その言い訳は、郷左衛門からも聞き飽きておる。しかも、すでにそれは遅い。幕府へのご誓約に対しても、この秋には、亀山六万石の家名はご返上せねばならぬ時機に迫っておるのじゃ」

「しかし、羅門の承知しますところによれば、それは要路の大官方へ、何らかのご方法をもってお願いいたせば、まだ両三年の……」

「だまれ、だまれ!」

老黄門は、千軍を叱咤するように、声をあらげて、

「九年の間、雲閣に坐して、身は老衰隠居いたしても、前黄門松平周防守であるぞ。左様なこそくな手段ができると思うか、うつけ者め!」

「ヘヘッ」

と、さすがの才人羅門塔十郎も、威圧されて一言もなかった。