Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

右の手に、郁次郎のほそい手を握った。

「ふたり共に、わしの見ている前で……わしの息のあるうちに、婚儀をあげてくれ。おお! 一献の酒も、一荷の祝いもないと、嘆いてくれるな。わしはどうしても、ここで、そなた達二人を、若い未来へ、幸福な生涯へ、見送らねばならぬ義務がある。それは、富武五百之進殿に対して誓ったことばがあるからだ。瀕死の老人でも、まだわしが呼吸をしているうちに、二人を結ぶことは、どんなに心強いか知れまい。……よいか」

「お父様……」

「父上……」

「なぜ泣く。強く生きよ。いいか。幸福に行けよ! いいか」

「は、はい……」

「郁次郎は、気が小さい。世間に弱い。社会にうとい。それを直せ、修業しろよ」

「ご苦労をかけました。父上、この、不孝の罪を、何とおわびしてよいか分りませぬ」

「花世! いや、伜の嫁よ」

「はい……」

「いじらしい、牢獄の花嫁よ! そなたは、何という薄命だったろう。だが、これからは幸福になれる。きっとなれる。わしが、あの世からも守ってあげる。よい嬰児を生みなさい。よい母になっておくれ……。そうしてくれれば、五百之進殿へ、わしは心の責めが幾分かすむ」