Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「やっ、蝋人形の囲い場だ」

「竹の柵を破ッた音だぞ」

物陰から躍り出して、そこを透かして見ると、ああ何たる怪だろう! 小豆縮緬の頭巾に深く顔をかくした白い眼元が、じっと、壇の上に屈み込んで、二人の影を見つめている。そして、彼女の腕には、そこに陳べてあった亀八作の蝋細工の死人形が、今しも、横ざまに、抱え込まれているではないか。

「待てッ!」

と、耀蔵は思わず呶鳴ってしまった。

ぐわらぐわらと凄まじい物音が、飾り壇の下へ種々な物を落した。鎧櫃、血みどろな片腕、白いぶらぶらな脛、簪、立て札――

「曲者め!」

耀蔵は、跳びかかって、女の帯際をつかんだらしい。キラリッと、短い刃が、空にきらめいた。耀蔵の手が絡んだ。がしかし、彼の手に倒されたのは、人形の胴中だった。すばらしい敏捷に生れついているような彼女の姿は、サッと、うしろの幕を懐剣で裂いて、消えこむように、囲いの裏へ飛び下りた。

「波越、逃がすな!」

と、友へ応じながら、加山はつづいて追ッた。追いかけながら見た彼女の胸には、たしかに、鷺江お雪の蝋細工の首が大事そうに抱えられていた。

しかも、その迅さは、風のようだった。