Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lisez 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 195 604 caractères · 391 écrans
なんでさような軽挙を敢えてして、この上軍馬の損傷をねがわれるものか」
と否定し去って、まるで顔でも洗って来給え、といわぬばかりの返辞だった。
楊曁という一官人が、この矛盾を訝かって、こんどは直接、魏帝曹叡にこれをただしてみた。
「蜀を伐つ儀はご中止なされたのですか」
「汝は書生だ。兵法を語る相手ではない」
「でも劉曄が、そんなばか軍はせぬといっていますから」
「劉曄がそういっておると?」
「はい。何せい、劉曄は先帝の謀士でしたから、みな彼の言を信じております」
「はての?」
帝はさっそく劉曄を召して、さきには朕に蜀伐つべしとすすめ、宮廷の外では反対に、伐つべからずと唱えているそうだが、汝の本心はいったい何処にあるのかと詰問された。と劉曄はけろりとして、
「何かのお聞き違いでございましょう。臣の考えは決して変っておりません。蜀山蜀川の嶮を冒し、無碍に兵馬を進めるなどは、我から求めて国力を消耗し、魏を危うきへ押しこむようなものです。彼から来るなら仕方がありませんが、我から攻めるべきではありません。蜀伐つべからずであります」
帝は妙な顔して、彼の弁にまかせていた。やがて話がほかにそれると、侍座に佇っていた楊曁はどこかへ立ち去った。