Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lisez 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 195 604 caractères · 391 écrans
三
得々として、司馬懿仲達の如き何する者ぞと、ひとり暢気に豪語をならべておるではないか。……もう駄目だ。もういかん」
「はて。なぜいけませんか」
「――ソノ備エザルヲ収メ、ソノ不意ニ出ヅ。これしきの兵法を活用できぬ仲達ではない。彼はおそらく洛陽に上ることを後とし、直線に宛城から孟達を衝くだろう。その日数は、ふたたび孟達へ、こちらから戒告の使いをやる暇よりは、ずっと速い。事すでに遅しだ――」
三
長嘆して――大事すでに去る――とはいったものの、孔明はなお諦めかねたか、すぐまた、戒告の一書を封じて、
「昼夜馬を飛ばして行け」
と、ふたたび新城へ使いを走らせておいた。
ここに。
郷里宛城の田舎に引籠っていた司馬懿仲達は、退官ののちは、まったく閑居の好々爺になりすまし、兄司馬師、弟司馬昭のふたりの息子あいてに、至極うららかに生活していた。この息子ふたりも、胆大智密、いずれも兵書を深く究め、父の眼に見ても、末たのもしい好青年だった。
きょうも二人して、父の書斎へ入ってきたが、父の顔いろが、どうもすぐれて見えない。そこで、弟の司馬昭がたずねた。
「お父上、何をふさいでいらっしゃるんです?」