Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
声もあげ得ずに、泣いているのだった。
『すぐに、支度せい。衣裳、家財、欲しい物は何なりと運ぶがよい』
『旦那様っ……』
膝へ、すがって、
『それは、余りお酷いではござりませぬか。主税を初め、るり、吉千代、大三郎、多くの子まで、生した夫婦が、些細なことで、何うして今更別れられましょう』
『些細とは何か、家風にあわん女は家の破滅の因、大石家にとっては重大なことだ。左様な心得と知れては、なおさら一刻もここには置けぬ。立てッ。すぐ出て行けっ』
父の大きな声の下に母の泣いている姿を見つけて、裏で剣道の稽古をしていた吉千代は、泥足のまま駈け上って来た。主税も、何事かと、父の態度を憚りながら、後から、そっと上って、書院の隅へ畏まった。
兄が、黙って、俯目になって控えているので、吉千代は父の前へ一人で両手をつかえた。
『お父様、堪忍して下さいませ。お母様のわるいところ、直しますから宥してあげてくださいませ』
『子どもの知った話でない。母はの……』
と、内蔵助は、凝と見て、吉千代の前髪へ手をのせた。
『……母はの……今日かぎり大石家を去った人間じゃ、もう叱言は云わん』
『嫌です……お父様……いつまでもお母様はお家へ置いて下さいまし』