Classiques japonais avec furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans
「殺して下さい。こんな……こんな苛めかたをするよりも」
「おら、口癖にいうが、煙火師だぜ、どうせろくな根性じゃねえ。こじれているうちゃしようがねえんだ。けれどその代りにゃ、さっぱりする時は竹を割ったようなもんさ」
「後生でございます、手を合せますから。……七之助さん。わ、忘れて」
「だからよ、おれの、このむやむやの晴れるまで待ちねえってことよ。な。おれはおめえに拝まれて往生するほど善い人間に出来ていねえ不しあわせ者だ」
「…………」
「おう、おう、町や祭りだし、空は星だ。色紙を竹につけて子供がかつぎ廻っていらあ、いいなあ子供は……」
頬杖を直して、往来をながめていたが、何を見たか、ぎくっと、お芳のそばまで身を退いた。
「おい、支度をしろ」
裾をからげると、脛には脚絆が当っていた。煙草入れ、紙入れ、あわただしく身につけて押入をがらりと開けて、重い包みに手をかけた。
が、考えて、
「駄目だ、こいつを金にしてからと思ったが、持っちゃ歩けねえ」
あきらめたようにつぶやいて、びっくりしているお芳の腕をかかえ込んだ。
襖を開けて、裏梯子まで出て来ると、階下からどかどかと駈け上って来た松代藩の武士が、途中で、真黒にかたまって、