Classiques japonais avec furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans
六
六
どう無理工面をしたのか、銅鑼部屋の連中が、五両という金をそろえて腕拱みをしていた。
そこへ、左次郎が帰ってくると、
「おい、待っていたんだ」
と、すぐに三公が調子づいて、
「おめえも、この頭割りに入っているんだから、そのつもりでいな」
「な、なんですか、それは」
「馬鹿に息を喘いでいるじゃねえか、どうしたんだ」
「遅くなったので、少し駈けて来たんです」
「そんな事あ、まアどっちでもいいや。此方だけ承知しといてくれねえと困るからな」
と、由造が中を割って、
「みんなの日当もおめえの手間も、七人分だけ、引ッくるめて、今夜無理に親分から前借した訳だ。金はここにある、見ておいてくれ」
「どうなさるんです、それを」
「部屋の交際だと思いねえ」
「それは宜しゅうございますが……」
「明日から七日だけ、おれ達も、砂利場へ仕事に行くことになった。ところで三公の奴が、どうしても癪で堪らねえから、もう一度、醤油賭をするって言うんだ。それへ、みんな半肩乗った理だから、勝てば、倍になって返ってくる。その代り、取られても泣言をこぼしちゃ困るぜ」
醤油賭の腹いせに熱している仲間の話も、かれには何の興味もない。