Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans

Aozora Bunko

二

「いち度、お訪ねして、いろいろと、伺いたい事もあるし……」

「ええ、どうぞ」

「また、何かと、話したいこともあるが、実は、この間うち、脱藩した青砥弥助の口から、弟御へ、ちと、内密を洩らしてあるので、一角が、訪ねては」

「丈八郎ならば、この頃は、相役が病気なので、たいがいな夜はおりませぬ。……お信はいても」

と、お八重の求めている気持は、眼で分った。一角は、編笠の中に、暗い笑みを、泛かべながら、

「では、近いうちに」

と、彼女を、辻に捨てて、ぷいと横丁へ曲がってしまった。

二

渡り鳥が、夜ごとに空をよぎって行く。

「女庭訓で育った武家娘なんて、男にかかると、から、意気地はねえ」

一角は、つぶやいた。

反撥のある、妙に強気な、江戸の女を知ってから、お里に、不足を覚えたように、そのお里に似ているという、ほんの、軽い出来心だった彼の悪戯は、お八重を、自分のものにした夜から――

「俺も、物好き」

と、彼を、微苦笑させた。

美人にはちがいないが、お八重は、癆咳病だった。――そういえば、死んだお里も、よく、悪い咳をしていたが――と考えると、丈八郎の家系には、その血のあることが、慥である。