Classiques japonais avec furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans
だが、俺は……」
彼は、これから持ってゆく自分の体の方針が、やっと、ついたように、
「俺は、真っ平だ。義賊にしても、狐鼠泥にしても、割の悪い世間の横渡り。きょうの態を見るにつけ、自分の子にゃ、横道を踏ませたくねえものだ」
宿場旅籠で、雲霧は、ふた晩、真面目に考えた。
そこを、二日目の宵立ちに出た時は、旅合羽の裾に、鉄こじりを見せ、面隠しの笠寒い素わらじの指先を、江戸へ向け返して、田所町へ。――そして、
「ごめん」
と、質屋構えの裏口から入った。
「佐渡幸親分に、ちょっと顔を――」と、そこに、立ったまま、草鞋を脱がなかった。
奥から、あわてて、佐渡幸が、
「おお雲霧、おめえ、御放免になったってえじゃねえか」
「へい。妙なわけで」
「恥かしくねえのか。義賊だの、五人男のと、世間でいわれている頭領が。――血まで啜り合った四人の乾分が、獄門に、首ッ玉あ並べているに、うぬあ、気まりが悪くねえのかッ」
「べつに、恥かしくはございません」
「やいッ。みんな、ここへ出て、恥知らずの腰抜け面を見てやれ。この間うち、ふいに夜半に来やがって、夜叉権の娘の一件を俺に打ち明け、死んでゆくにも、こうしてえと、立派な口を叩きゃあがるから、さすがは雲霧は盗ッ人にしても、男がちがう。