Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
三本錐
うか、これから愛の余生にはいろうとする老先生をして、三十年の体験にもなかった苦闘の熱地に立たせ、塙家の幸福を、暴風的に覆えした大悪魔は、この夜、皎々と冴えた名月の巷に、初めて、ひょいと顔を出したのであった。
三本錐
「いい十五夜だなあ、昼のようだ」
「オイオイ波越」
「なんだ、加山」
「月にばかり見惚れていないで、少し急ごうじゃないか。公用で少し遅刻したが、吾々は、今夜の世話人の中にはいっているんだ」
「そうだ、こん夜の捕縄供養は、老先生が生涯に一度の思い出だ。おれも貴様も、老先生には、訓育のご恩をうけている師弟のあいだ。それが遅く参っては、参会者も不都合な奴と怒っておるかも知れん。早く参ろう」
南町奉行所の同心、波越八弥と、加山耀蔵の二人だった。どっちも元気がいい、鋭敏な眼ざしをもち、若手として、働きざかりである。
土橋を渡ってから、ふたりの影は足早になった。大股を争うように急いだ。四ツ辻へ来ると、その町口から、左の方に月の海が光って見えた。
やがて、その息で、増上寺の山内へはいった。
ひろい御成道は、白と黒の寂地だった。白は月、黒は巨木の影、その中を急いでゆくと、顔にも肩にも、袴にも、ちらちらと、海月のような光線がたかって、後ろへ飛んで行く。