Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

人無き駕

但し、これもよい証拠にはなるから奉行所まで預っておく」

と、そのまま、懐中に収めた。

隙を見て、郁次郎は、ぱッと、彼の手から腕を抜いた。おのれッという声といっしょに、夕闇の底から、どぼウん! と真っ白な水煙が上がった。

濡れねずみになって、河の中に立った東儀与力は、無念そうに陸を見上げて、息いっぱい、呼子笛を吹いた。――身ぶるいをしながら、急を陸に告げた。

郁次郎の影は、白魚橋の中ほどを、いッさんに駈けていた。

人無き駕

もがけばくほど、彼の脚は、河の底泥土へ食い込んで、胸――肩の辺まで、黒い河水にズブズブと浸ってしまうばかりだった。

「残念だ。――あれ、郁次郎めが、橋を越えて逃げて行く。追えッ、追えッ、誰か、あれを追え」

と、叫んでは呼子笛を吹き、もがいてはまた、河の中で、笛の壊れるほど吹き鳴らした。

「東儀殿じゃないか」

と、陸の上の夕闇で、ひたっと、駈けて来た跫音が止まった。

「お! 羅門先生」

東儀は、自分の力で、河から上がろうと努めたが、上がれなかった。

「それっ」

陸から風を切ッて来た捕縄の端が、ぴゅっと水面を打って、白い筋を描いた。

「や、忝い」