Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
鉄漿爪
江戸表へは、早飛脚を打って、すべての手配をたのんでおいたから、三日のうちには、東儀殿も人数を連れて乗りこんで来るでしょう」
「あ、もうそんなに」
「羅門の手を下す以上には、電瞬の間です。ご安心なさい」
そう言って、少し誇らしく、
「だが、その手配の来るまで、何より不安なのは、この渡し口です。貴公は、その身なりがちょうどよいから、昼夜、ここの海辺を離れず、見張っていてもらいたい」
「承知いたしました」
そういって、羅門は、島の中腹にある町中の旅籠へはいった。彼の好きな相模の海色は、裏二階の窓から一望に見え、目ざす郁次郎の潜んでいる江之島神社の青銅の甍は、表二階から木立のあいだに見えた。
鉄漿爪
「ああ父にすまない。あの老いたる父は、鶉坂に養生所を建って、自分が、こんな身でいるとも知らずに、長崎から今帰るか、今帰るかと、待っていることだろう」
机に凭れて、郁次郎はもがいていた。そこは、江之島神社の社家の離れである。
「花世は、どうしているだろう」
苦悶は、すべてを苦悶にする。
――波の音、木の葉の風。
彼にはすべてが、恐怖と、苦悩の音響だった。罪の人にありがちな、神経質な顔に、おそろしく、若い明るさを傷つける立て皺が、眉のあいだに、針のように立っている。