Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
謎の櫃
すると、同時に、鎧櫃を背負ったまま利き腕を捻じ上げられている百姓男は、耀蔵の手を振り放ッて、猛然と、杖みたいな棒を、横に構えた。
「耀蔵、油断するな! そいつは、三本錐だぞ」
八弥は、こう呶鳴って、注意せざるを得なかった。杖の先には、鋭い三つ股の錐がついている。それを横に構えて、ぶんと投げるか、突ッかかって来るつもりか、男の眼は、殺気に燃えあがっているのだった。
謎の櫃
「生意気な!」
と、加山耀蔵は、八弥の注意を聞きながしながら、敢然と、男の手もとへ飛びこんだ。
――男は、野獣のように、体を屈曲して、三本錐を自由自在に使い出した。それは、棒にもなり、槍にもなり、どうかすると、手を離れて飛んで来そうにもなる。
こんな奴に、十手を翳すのは大人げない、というような気もしたが、耀蔵は遂に、武器を持たずにはいられなくなった。無論、八弥も側面から力をあわせて、息もつかせずに、挑みかかったが、男は容易に屈伏しない。
いや、かえって二人の方が、しばしば、三本錐に見舞われて、どこともなく、血まみれになってしまった。
そのうちに、男の運の尽きだったことには、背負っている鎧櫃の片紐が切れたため、それが、ずるッと背中を辷った途端に、仰向けに足を浮かしたのである。