Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

しめた! と耀蔵はその浮き腰を蹴とばした。八弥の十手は、男の頬骨をイヤというほど撲りつけた。

よほど強情な人間とみえて、それでも男は、わッとも、すッとも言わなかった。二人は呼吸を弾ませながら、男をがんじ絡めに縛り上げておいて、番屋の者をよび、鎧櫃と三本錐をかつがせて、急いで、一たん奉行所へ引っ返した。

そしてすぐに、報告だけをしておいて、二人はまた捕縄供養の席へ、出直すつもりだったが、短い道のりを、駕で飛ばしている間に、耀蔵は頭がふらふらとして来るし、八弥は、薄黒くあせた唇を噛みしめて、意識さえ、あやしくなる。

奉行所の医者に、熱い薬湯の茶碗を手に持たせられ、喉を焼かれるように感じた時、ハッと気がついてみると、八弥は自分の体も、側にいる耀蔵も、白い布に巻かれて、蘇鉄のようになっているのを見た。駕にのるまで、さほどに感じなかった三本錐の傷が、腕や股に、ずきずきと激痛の脈をうつ。

「気がついたか」

前を仰ぐと、吟味所の床に、奉行と与力がいる、書記が机をひかえている。獄吏が六尺をかかえこんで取り巻いている。――そして、鎧櫃と、三本錐の兇器を、怨めしげに睨みながら、百姓男は、棒立ちに、立っていた。