Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
「俺を……俺を打ってくれ」
「貴様を打って何になるんだ! ……ええ、ものの道理の分らんやつじゃ! 弱い男め! 意気地なしめ!」
と、泣きながら友を打った。
「すまない、加山、ゆるしてくれ。……おれの不覚だった」
波越は情の人だった。加山はどっちかといえば理性家だった、天職の意志のつよい好捕手だった。反いた性格であって、二人の友情は肉親も及ばないほど濃密なのである。互いに、激した感情を衝き上げられて、加山は、無意識に友をぶん撲りつつ組み合ってそこへ泣き倒れてしまった。
路傍の草の色に、ぱっと、明るい光線が射したので、二人は、驚いて跳び別れた。桐畠の小道を、静かに歩んで来た人の提灯の明りだった。それは、与力の東儀三郎兵衛である。
じっと――穢いものを見るように、ひれ伏している波越八弥を見下ろして、東儀のことばは、皮肉なくらい、静かだった。
「波越。――暇を遣わすぞ。お役儀を剥いで遣わす。どこへでも去れ! さだめし、満足だろう」
「えっ、波越に、お暇を」
と、吃驚して、加山がすがりついてゆく眼を、東儀のむずかしい顔が、避けるように、無言で、横にうごいた。
彼のうしろには、彼の硬ばった峻厳よりも、もっと冷々として理智的な、羅門塔十郎の眼が蛍いろに光っていた。