Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
諏訪頼重の居城と見えて、今鞳と鳴らす太鼓に、湖上に浮いていた水鳥がハラハラパッと飛び立った。湖水の彼方に連らなるのは信濃の名山八ヶ岳、右手に独り聳えているのは富士によく似た立科山、八ヶ岳颪が吹くと見え、裾野の枯草皆靡びき、湖水の水さえ浪立って見える。その湖水さえ次第次第に、夜の帳に包まれて、灰色なすかと見るほどもなくやがて宵闇につつまれた。高島城さえ今は見えず、今宵は月が遅いと見えて空には無数の星ばかり。
こうして、此方、諏訪明神の、境内もいよいよ寂しくなり、嵐を孕んだ杉の梢が物凄く々と鳴るばかり、他には生物の声さえない。
しかるに不思議やどこからともなく、男女の話し声が聞こえて来た。
「孕石殿、孕石殿! どうやら荒模様になった様子。今夜もさびしいことでござろう。物語り致そうではござらぬか」
それは嗄れた男の声で、そして、全く、奇怪のことには、その嗄れた男の声は、旅人がさっき噂して通った、例の四本の御柱の中で一番巨大な御柱の――すなわち、さっき旅人が力柱だと云っていたその御柱の根もとから――と云うよりむしろ地の中から、物凄く聞こえて来るのであった。