Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
鬼王丸
大岩の上に立ち上がり、西北の曠野を見渡した。
と、青母衣を引き纏い、黒馬に乗った四、五十騎の武士が、旅人らしい三人の男女を、引っ捕らえんと騒いでいる。多勢に無勢やがて三人は、馬の前輪に掻き乗せられた。馬首を一斉に立て直すや、その四、五十騎の騎馬武者は、大鼠山の方角へ、颯と一散に走らせて行く。
「岩石ヶ城の青母衣組、また旅人を攫ったと見える――それにしてもあの老人、何んとやら姿に見覚えがある! 南無三宝! オースチン師じゃ! そう云えばあの女人は、芳江姫によう似ていたわ! すわ一大事! 棄てては置けぬ!」――数馬は絶壁を舞い下るや雪を蹴立てて一散に部落を指して走り出した。
鬼王丸
「殿、お目覚め遊ばしませ!」
岩石ヶ城の四天王の一人、白虎太郎はこう呼びながら、襖を静かに叩いたが室内は鼾の声ばかりで容易く眠りから覚めそうもない。
「殿、旅人を捉えましてござる。お目覚め遊ばしませ、お目覚め遊ばしませ!」
再度呼ばれて室内の鼾はにわかに声を止どめたが、
「えい、暁からザワザワと、何用あって呼び起こすぞ! なに、旅人を捉えたとな? 今に初まった事ではなし、珍しそうに何をほざくぞ!」