Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
と、懲りずまた寄せ来る敵。数馬をグルリと引っ包もうとする。包ませながら身を翻えすや数馬は両刀を突き出したまま大きく一つ円を描いた。連れて一、二人バタバタと仆れまた一間前へ出た。
「よし!」と彼は呟いたが、とたんにトンと床を蹴った。千畳敷きの大広間、見霞むほどの広い空間を、飛びも飛んだり一文字、鬼王丸の面前へ足を縮めて飛び下ったが、「かーッ」と掛けた声もろとも左剣は投げ捨て右剣一本へ渾身の力を確とこめ鬼王丸の真っ向を切尖下りに切りつけた。哀れや鬼王丸血煙り立てて朽木のように仆れたかと見れば、そうではなくて間一髪に太刀風の下を潜ったが、裾まで垂れた白髪を白蛇のように渦巻かせ数馬の太刀を巻き抑えた。
「小僧推参!」
と嗄れ声で、鬼王丸は絶叫しそのまま一つ首を揮った。太刀は数馬の手を離れ窓の彼方へ飛んで行った。
「南無三!」と思わず叫んだ時には数馬は全くの無手であった。
むらむらと寄る敵の勢。無惨や数馬は乱刃の下に今は生命を落とさなければならない。オースチン老師も芳江姫も同じく敵の重囲の中に身動きも出来ず取り込められている。そのきわどい一瞬間、大鼠山の方角から、鳴り鏑の音が高く聞こえて、窓を通して一本の鏑矢広間の壁に突っ立った。