Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
「さあ見物だ、何んと出た?」
才蔵ヒョイと地面を覗くと、猿と山猫と大きな鼬、それから腹の赤い大きな井守。頭を砕かれ腹を裂かれ血を流して死んでいる。そうしてこれらは再び生き返りそうにも見えなかった。
隙もあらせず八方から新手の妖精ども押し寄せて来た。後から後から後からと尚無限に押し寄せて来る。森林の王鬼王丸が眷族を率いて出陣したと早くも聞き伝えた妖精どもが谷々峰々から数を尽くし味方しようと馳せ加わったのである。
才蔵いかに勇気があっても無限に襲って来る敵に対しては辟易せざるを得なかった。
「お師匠様! お師匠様!」
とうとう悲鳴を上げたものである。
すると忽ち洞内から、
「オーッ」という声が聞こえて来たが、すぐその後から妖精にとっては何より恐ろしい破邪顕正経、すなわち真言の孔雀経を音吐朗々と誦する声が力強く聞こえて来た。
「檀上有金色孔雀王、其上有白色蓮花、蓮花上有字、変成孔雀尾、変成孔雀王、住慈悲相具四臂……」
妖精どもはそれを聞くと一度に体を縮めてしまった。そうして次の瞬間には林の中へ逃げ込んだ。幾百幾千となく集まっていた怪々奇々たる魑魅魍魎が恐怖の情を顔に現わし木を潜り草を蹴開き雲を霞と逃げる態は真に不思議にも悽愴たるもので、岩上に立った才蔵さえ呆気にとられたほどである。