Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 866 caractères · 318 écrans
お徳の手から受取ると、なるほど、書きも書いたり、蚯蚓と古釘とが滅茶滅茶に雑居したような、素晴らしい難文で、
(――私には好いた同士の男があるから、それと一緒に世帯を持つ、給金の残りと荷物は、いずれ家が決ったら受取りに来る――)
といったような事を、惚気交りに、番硯の禿筆で根気よく鼻紙三枚半にのたくらせたものです。
「これは驚いた。気が付かないではなかったが、手が廻り兼ねましたよ。見えなくなったのは、何時頃でしょう」
「居ないのに気の付いたのはツイ今しがたですよ。晩の仕度をさせようと思うと、この始末で」
お冬はひどく機嫌を悪くしております。
「あの娘にも男はあったのかなア」
ガラッ八は感慨無量な声を出しました。
「そんな気のきいたものがあるもんですか、出入りの御用聞か何か、からかったんでしょう」
捨吉は少しばかり面白そうでした。
「とにかく、お勘坊の部屋と、埃溜を明るいうちに、もう一度見せて下さい」
平次はお徳に案内させて、お勝手に入ると、薄暗い三畳、――お勘坊の寝間を見せて貰いました。布団一と揃、竹行李が一つ、外に何にもありません――。竹行李の中にも、お勘坊相応の着物があるだけ。