Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans
それ、真っ黒な眼が皆んなを見ているじゃないか」
平次は続けて言いました。
「銭形の親分さん、――この死骸が誰か、私にはよく解ります」
身体の痛いのを我慢して、この時にようやく這い出して来た老番頭の金蔵です。
「番頭さんか、お前さんは年頭だ、もしやと思う事があったら言うがいい」
「もしや――どころじゃございません。これは七年前に行方知れずになられた、先代の大旦那に相違ありません」
老番頭金蔵は言い切りました。
「間違いはあるまいな。番頭さん」
「それはもう、先代の旦那様のお守りをしながら奉公した私でございます」
「証拠はあるだろうね」
「第一、この胸に刺した脇差は、行方知れずになった時差していなすった品でございます。それから、着物に凝った方で、――この古渡唐桟は、汚れてはおりますが、よく存じております。それに、背恰好、左足首に骨まで通った切瘡――これは若い頃の悪戯の祟りで、お守りの私がうんと叱られました」
「…………」
「それに、この井戸を埋めたのは土蔵を建て直した年で、ちょうど七年前、先代の旦那が行方知れずになった年でございます。――浅い井戸で水が悪くて使わずいたのへ、職人が邪魔な物を投り込むので、与市――これは遠島になった番頭でございますが、その男が言い付けて、とうとう埋めてしまいました」