Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 562 caractères · 291 écrans

Aozora Bunko

家に居た者というと、下女のお金と、昨夜私の供をして来た小僧の角太郎と、夜更けになってから店の用事を持って来て、雪がひどくなって、ここへ泊った番頭の徳兵衛の外にはない――とこう言うんだ。下女や小僧や番頭はお咲を殺すはずはない」

「なるほど」

「ところが、俺は毛頭覚えはない――親分も知っての通り、お咲は大金を出して身請をしたばかり、どんな無算当な人間でも、それを殺して、自分も処刑台に上る気持になれるものじゃない――」

主人幸七が説明するまでもなく、去年の暮、三百両も積んで、お咲の薄雲を引かせ、ここに手頃な寮まで建てて囲った始末は、当時本妻のお定が大嫉妬で、出るの引くのという騒ぎを起したことがあっただけに、銭形の平次にも、忘れようのない記憶だったのです。

「銭形の。――幸七の言うのは尤も至極に聞えるが、近頃お咲に他の男が出来たという噂は、神田までは響いちゃいまいネ」

三輪の万七は、隣の部屋から皮肉なことを言っております。

「そんなはずはありません、お咲に限って――」

幸七は頸に喰い込む縄を外すように、神経質に襟をくつろげました。

「勤めをした女だ、そんな事が判るものか。