Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lisez 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 195 604 caractères · 391 écrans
過った。師よ、昭よ、早く外へ引っ返せ」
「えっ、空しく?」
「早く戻れ。あれあれ、なお多くの兵が争うて続いてくる。大声あげて、返れと呼ばわれ。戻れと号令しろ」
そして司馬懿自身も、声かぎり、後へ返せ、もとの道へと、鞭振りあげて制したが、とうてい、勢いづいて雪崩れこんで来る後続部隊までには、容易に指令が届かない。
その混雑のうちに、何とはなく、急に異臭がつよく鼻をついてきた。
眼にも沁む。喉にも咽せる。
「やや。何の煙だ?」
「火を放つな。火を放ってはならぬぞ」
しかし――火を放った者は魏軍のうちにはいない。それどころか、命令の混乱で、馳け込んでくる者、引っ返そうとする者、谷口の一道で渦巻いている騒ぎである。
時こそあれ、一発の轟音が谷のうちにこだました。――と思うと、隘路の壁をなしている断崖の上から、驚くべき巨大な岩石が山を震わして幾つも落ちてきた。あわれや馬も人もその下になった者は悲鳴すら揚げ得ずに圧し潰がれてしまう。そしてたちまち、その口は、累々たる大石に大石を重ねて封鎖されてしまった。
いやその程度はまだ小部分の一事変でしかない。四方の山から飛んできた火矢は、いつのまにか、谷中を火の海となし、火におわれて逃げまわる司馬懿仲達以下、魏軍の馳け狂うところ、たちまち、地を裂いて、爆雷は天に冲し、木という木、草という