Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lisez 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 195 604 caractères · 391 écrans
これらの予備作戦が、すべて孔明のさしずに依るものであることはいうまでもない。
かくて孔明は、南安に使いをやって、さきに捕えておいた魏の帝族たる虜将夏侯楙馬をこの地へ送らせた。
「※(「馬+付」、第4水準2-92-84)馬、御身は、いのちを惜しむか」
孔明に問われると、もとより宮中育ちで、父夏侯淵とは似ても似つかぬ夏侯楙は、涙をたれて、
「丞相のお慈悲をもって、もし二つとない生命をお助け下さるなら、大恩は忘れません」
と、いった。孔明はまた、
「実は、いま冀城にいる姜維から、儂へ書簡をよこして、夏侯楙をゆるし給わるなら、某も蜀に降らんと云って参った。――で、いま御身を放つわけであるが、冀城へ行って、すぐ姜維を伴ってくるか」
「お放し下さるものならよろこんで行って参ります」
孔明は彼に衣食を与え、また馬を供えて、陣地から放した。
夏侯楙は籠の鳥が青空へ放たれたように一騎で急いだ。するとその途中で、大勢の避難民に出会った。馬をとめて、その中の一名に彼がたずねた。
「おまえ達は、どこの百姓だ」
「冀城の民でございます」
「なぜ避難するのか」
「でも、県城を守っていた姜維は、蜀に降伏してしまい、蜀の魏延の兵は、村々に火を放って、掠奪するし、乱暴はやるしで、土地にいたくもいられません」