Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Lisez 三国志(八) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.

N1 · avancé · kanji et kana modernes · 195 604 caractères · 391 écrans

Aozora Bunko

半刻ほどすると、孔明の面上に、ぽっと血色が甦ってきた。――人々はほっと眉をひらき、

「お心がつきましたか」と、枕頭をのぞき合った。

孔明は大きく胸を波動させていた。そして、ひとつひとつの顔にひとみを注ぎ、

「……思わず病に負けて、日頃のたしなみも昏乱したとみえる。これは旧病の興ってきた兆といえよう。わが今生の寿命も、これでは久しいことはない」

語尾は独りごとのようにしか聞えなかった。

しかし夕方になると、

「心地は爽やかだ。予を扶けて露台に伴え」

というので、侍者典医などが、そっと抱えて、外へ出ると、孔明はふかく夜の大気を吸い、

「ああ、美しい」

と、秋夜の天を仰ぎ見ていたが、突然、何事かに驚き打たれたように、悪寒が催してきたといって内にかくれた。

そして侍者をして、急に姜維を迎えにやり、姜維が倉皇としてそこに見えると、

「こよい、何気なく、天文を仰いで、すでに我が命が旦夕にあるを知った。……死は本然の相に帰するだけのことで、べつに何の奇異でもないが、そちには伝えおきたいこともあるので早々招いた。かならず悲しみに取り乱されるな」

いつもに似ず、弱々しい語韻であったが、そのうちにも、秋霜のようなきびしさがあった。