Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
けれど、そうしている半月余りは、さして辛くもなかった。なぜならば、屋敷づとめをしていた頃と違って、自由に、何時でも、考えたい事を考えていられるからだった。
『……右衛門七さん』
そっと、呟いてみる。するとあの前髪の人が、天井から白い顔を出して、彼女へニコッとほほ笑みかけるように思える。
『会いたい』
それだけが、思い出すと、苦しかった。
『私の抛った板絵図は、首尾よくあの方の手に入ったかしら?』
それも知りたかったが、便りをする手だてもない。みしりと梯子段が軋んだ。
『誰だえ?』
『あっしですよ』
と、いつも粥を運んでくる中小僧の竹が、そっと首を出した。
『……お粂さん、戸外へ出たいでしょう』
『戸外へなんか出たくはないよ』
『嘘を云ってら。あの人のところへ会いに行きたいでしょう』
『…………』
『今、親方は留守ですぜ。そして、帰りにゃあ、小網町のお花客へ寄ってくると云ってたから、晩になりますぜ。どうです、晩まで、きっと帰って来るなら、あっしが、ひきうけますから、行って来ませんか』
『ほんと?』
お粂は、夜具の上に起きた。
間もなく、頭巾をかぶって、彼女は、家を出て行った。