Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans

Aozora Bunko

――だが、案外世間は忘れっぽい。

幾人か、顔を覚えている者とすれちがったが、声もかけられない。与五郎は、先にいた家のまえも通ってみた。

『……あ、まだ空いているのか』

閉まっている二階の戸を見あげて、何かさびしい気持に打たれた。わずかな間にも、刻々と変ってゆく自分がはっきり考え出される。

『……おや』

ふと、彼は足を止めた。――雨に朽ちている廂の下に、きれいな娘が濡れているのだった。小間物の暖簾も今は掛けてない空家の軒下に佇んで、何を求めているのか、娘は、

『――簪くださいな。……有りません……じゃあ鬢附油』

低声で、そんな事を云いながら、雨戸を撫でまわしているのだった。

天機

霏々と、霧雨は寒く、風に撲られてゆく――

さあっと、そこの空家の戸へも、吹きつけるのであった。

――が、娘は、寒さも感じないらしい。鹿の子と繻子の合せ帯が、もう水をふくんで、雫をこぼしているほどだった。

とん、とん、とん――

白い拳が、かろく戸をたたいている。

『右衛門七さん、あずき屋の右衛門七さん……』

呼んで、顔を押しつけて、

『まだ寝ているの。――鬢附油を下さいましよ。――開けて、この戸を、ネ、右衛門七さんてば』