Classiques japonais avec furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
案の定、将軍家は癇にさわったらしい。返辞はなくて、舌打ちが聞えた。あらい湯の音をさせて、暫くすると、さっと御化粧の間へかくれる肌が見えた。機嫌を損ねた将軍家の顔いろに恟々しながら御風呂女中が、衣服を着せ、髪を梳でつける。
済むと、外に控えていた出羽守の前には来ずに、ついと休息所へ入った。
その後から、出羽守と二人の目付役が、畏る畏る通って行くと、
『火急とは、何じゃ』
『はっ』
多門と大久保が、出羽守の顔を見た。将軍家の感情が苦々とあらわれているので、言い出しかねた様子なのである。
『申し上げまする』
綱吉も戌年生れなら、柳沢出羽守も、戌年だった。その点でも、この主従には、迷信的な契合がふかいらしいのだ。綱吉の気持ならば、底の底まで知りぬいているという風に、彼は、他の臣下のように臆しはしなかった。こういう気まずい顔つきも、至って、扱い馴れて居るらしく、
『――唯今、御表におきまして、赤穂の城主浅野内匠頭事、意趣あって、高家の吉良上野介に対して刃傷に及びました。就ては、両名の処置、又、勅使饗応役の跡に代る者、何人に仰せつけられましょうや。そのために、お急きたて申し上げました段、平におゆるしの程を願いあげまする』