Classiques japonais avec furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans
今朝の事件は、伯耆守の耳にも疾く入っていたに違いない。取次の言葉を聞くと、伯耆守は即座に、
『通せ。身が直々に会おう』
と、云った。
自首の使者として来た二人は、討入の趣意書を懐中に持っていた。伯耆守は、それを直接受け取った上、手短かに要領を訊き取って、
『神妙な仕方である。すぐ登城いたして、老中方へ披露に及び、お沙汰を仰ぐ事にするであろう。両所にはその間、緩々当家に於いて休息あるがよい』
二人は、別間へ通された。そして、空腹であろうという仙石家の好意で、湯漬を饗せられた。
そこは、ふつうの客間なので、
『まだ、装束も昨夜のままにて、あまり尾籠の態にござります故、もそっと端近にて頂戴いたしとうござる』
恐縮して、家臣に云うと、
『いやいや、殿のおいつけですから、御遠慮には及びませぬ』
とある。
『では。――』
と二人は、胴着や帯を締め直し、礼儀の心だけを表して、湯漬を馳走になった。
お坊主がそこへ茶を汲んで来ると、二人共、
『茶は沢山でござる』
と辞退して、袖の中から、紙に包んだ焼米を出して、
『甚だ恐れ入るが、これは昨夜、兵糧に持参いたした穢い物でござる。