Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans

Aozora Bunko

『何よりの御好物なれば、大石殿から先へ参らせましょう』

と内蔵助へ取次いだ。

暫くの間、ゆるい紫煙が、二間のうちに流れた。早水藤左衛門が、ふと、

『御修築はもうおすみでござるか、大工の鑿の音が昨日から聞えませぬが』

すると、伝右衛門は何か云いかけたが、ふと、口をつぐんでから、その後で云った。

『初春早々、あちらの役者の間へお移りができまする。ここは暗うござるが、あちらの御座敷なれば、庭も見え、空も見え、幾分かお気が晴れましょう』

その年は暮れた。

初暦のうえに、元禄十六年の初春がもう二日、三日と数えられてゆく。

すっかり修築した新しい役者の間へ、一同は移された。

(海が見える)

(雲が見える)

と、童心のように、そこの眺望をみな欣んだ。

手紙を書けば、伝右衛門が帰宅の毎に、何処へも取次いでくれたし、返辞も持って来てくれた。市中の風聞なども居ながらに皆知った。それにつけても内蔵助は、こうしている間の冥加を惧れた。殊に、他藩に預けになっている若い人々と、子息の主税の身を案じた。どんな苛酷な扱いを受けているかという心配ではない。安逸すぎる日に馴れることを――討入前の心に変化の来ることを惧れるのだった。