Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans

Aozora Bunko

着物をぬぐと、百は、そのあら鉄みたいな、黒い、たくましい体を、風呂桶へいっぱいに沈めて、

「わ……いい湯だ」

「ぬるくはねえかよ」

「ちょうどいい……ああいい気もちだ。すまねえなあ、おふくろ」

「なにを、こくだ、改まって」

「いや、ほんとに、すまねえよ。おらあ、いつも肚ン中じゃ手をあわせていたんだが、折角、年期をこめた師匠に破門をくって、馬の金沓だの、百姓の鋤鍬ばかり、テンカン、テンカンたたいていちゃいつまで楽はさせられねえ」

「だから、ぬしも、ばくち打の張番などに頼まれて、日を暮していねえで、一生懸命に、腕をみがくこっちゃぞ」

「そうだ、そうしなければ、武蔵住安重、田無の刀屋敷といわれたこの家に住んでご先祖様に申しわけがねえ」

「そうとも……」

おしげは、燃えいぶる竈のまえにうつ向いていた。もう、泣いているのである。

上手とはいわれなかったが、とにかく、先代までは田無の刀鍛冶で相当に暮していたのが、かあいい百之介の代になって百姓鍛冶に落ちぶれてしまったのが、何よりも、おしげの老先を暗くしていた。

(先代さえ、早死をしなければ……)

と、ことあるごとに、ぐちを思う。