Classiques japonais avec furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lisez 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 609 caractères · 362 écrans
「そうかい、儲け損なったね。――だが、あの伝馬勤めの、蔵六とかいう、牢番の伜は、本町の薬問屋に奉公していた人じゃない」
「丁稚から仕上げて、やっと小番頭になったところで、店の金を使い込み、親妹弟をすてて、何処かへ逃げてしまったという話だが」
「その人なら、今朝分ったんだけれど、銀杏家の秀弥さんに熱くなって、あの女と二人で、江戸川で心中したとさ」
「へッ? 心中したんで?」
「だから主人も、持って逃げた金は、香奠にして、示談になったに違いないよ。そうすれば、娘を身売りすることもないからね」
「道理で、蔵六爺め、きのうは、寝込んでいやがった」
「ま、そう悪くおいいでないよ。またいいことがあるだろうから」
「なくっちゃ、埋まらねえや。――じゃ、またそのうちに」
「おや、まあいいじゃないか。大層、お急ぎだね」
「今日はこれから、千住へ行こうと思って」
「玉を見にかい?」
「なあに、評判の義賊の五人組が、磔刑になるっていうから、そいつを、見物してやろうと思って」
雲霧は、体を拭いて、風呂から上がっていた。
黙って出しておいてくれた肌着、袷、それを着て、鶴松がすすめる長火鉢の赤い座蒲団は、眺めただけで、