Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「ウム、それまでにいうならば、花世どのをここにおいて申すが、差支えないか」

「無論!」

と、強く言い放ったが、ちらと彼女の白い顔を見た郁次郎の眼ざしは、何ものかに脅えていた。

「では訊ねるが、貴公、鷺江お雪という女笛師と、よほど深い間がらでござろうな」

「知らぬ! 存じませぬ!」

きっぱりと言って、横を向いた。

「卑怯じゃ」

と、東儀は嘲笑って、きのうの恋文と、笛の中から出た例の紙片とを出して見せた。

郁次郎の顔は、見る間に、血の気を失った。――が、彼以上の驚きと悲しみとは、むしろ花世の方に強かったかも知れなかった。今も、たった今、心の全部をあげて、信じていると言ったばかりのその人に、自分以外の女があろうとは、誰が、思っても見たろうか。

突然、花世は双つの袖を手に拯って、わっと、そこへ泣き伏してしまった。郁次郎の蒼ざめた唇は、口いっぱいに血を含んでいるかのように、固く閉じ切ッたまま、けいれんしていた。

東儀は、勝ち誇ったように、

「神妙になさるならば、ほかならぬ老先生のご子息、途中の縄目だけはゆるして進ぜる。さ、お立ちなさい」

脆くも郁次郎は、両刀をすてて、力なく、蹌々と立ち上がった。