Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
「こう山ン中で見直すと、何だかよけいに美しいな」
「これ! 駕屋」
「ヘイ」
二人は、吃驚したように振り向いた。
「――な、なんでえ、てめえはさッき坂本で休んでいた旅商人じゃねえか。侍みてえな声を出しゃあがって、恟ッとするじゃねえか」
「ははは、どうも相済みません」
と、八弥は煙管を咥えながら屈み腰に、
「おそれいりますが、お火を一つ」
「おまけにご拝借ときやがったぜ。図々しいやつだ」
借りた燧打石で、すぱっと吸いつけて、
「今のお女中は、含月荘へ行ったんでございましょう」
「よく知っているな」
「へい、てまえも、御番士方にお出入りをしておりますんで。――だが駕屋さん、あれや山のお屋敷じゃ見たことのない女ですぜ」
「江戸表の上屋敷から使いに来たという話だから、多分、あっちの者だろう」
「それにしても、女一人の使者というのはおかしいじゃございませんか。どういう用事で来たんでしょう」
「なあ、相棒、なんだか小さな筥を持っていたようじゃねえか」
「む、香筥のような……。そいつばかりを、ひどく大事そうに抱えていたよ」
駕屋に別れると、八弥は足を早めて、遅れた距離を取り返した。街道とちがって、こういう山道では、先に自分の姿を気づかせないということは至難だった。